移住体験日記12/27-1/3【令和元年12月29日】

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2019年12月-2020年1月_千葉から

【令和元年12月29日(日)】
天気:晴 3日目 最低気温:-20.9度、最高気温:-1.7度
日の出:6時57分 日の入:15時56分 日照時間:8時間59分

明け方の空は雲ひとつなく、放射冷却が地表の温度を低下させていく。マイナス20度近くにまで下がってきているようなので、今朝はダイヤモンドダストやサンピラーといった大気光学現象を目にすることが期待できそう。
今日の日の出時刻は6時57分。我々が「小利別の丘」と呼称している林内の丘陵に行ってみることにしたい。そこは緩やかな丘陵に周囲を囲まれているので、日の出時刻を多少過ぎる頃を目標にして車を走らせる。
昨夜下ってきた池北峠からの道を、今朝はまた緩やかに登っていく。日宗を過ぎ、もうすぐ小利別に着こうかというところで、陸別行きのバスとすれ違う。今朝も乗客の姿は見えなかったように思われる。
銀河線の楠田踏切跡を渡り、小利別市街地への道を左に分岐し、神社の参道を横切って丘の上へ向かって登っていく。数百メートルほど進み、右折して少し入ったところに、日の出を背景とする小柄な谷地形が見えてくる。太陽は、丘の上から既に顔を出し始めていた。
この地点に今年2月10日に訪れた朝は、陸別駅前の温度計はマイナス30度を示し、小利別駅前の温度計に至ってはマイナス35度を表示していた。その日見たダイヤモンドダストは徐々にその輝きを増していき、出てきたばかりの太陽を中心としてサンピラーを形成していったことが昨日のことのように思い出され、その再演を期待していたが、やはり、自然現象は思い通りにはならない。
今朝は気温がそれほど低下しなかったこと、降雪が少ないためであるのか、大気中の水蒸気量が飽和点に達しなかったことが主な原因だったのだろうか。
期待していた光景を目にすることは叶わなかったが、真っ白な霧氷を身につけた樹林と、その手前に広がる雪原は、まだ少し寝ぼけた我々の目を癒してくれた。
さて、今日の行き先もまだ決めていない。この地点から北見までは1時間弱。カーリングチームのロコ・ソラーレがその名を広めた「赤いサイロ」の菓子店である清月の開店時間に上手い具合に間に合いそうだ。
北見へ行くには銀河線の経路である池北峠を越えて向かいたいところ、若干不本意ではあるが、北見オホーツク道の陸別小利別インターから向かうことにする。
清月の北見とん田店に到着したのは開店時刻の15分前。駐車場に車を停めるやいなや、従業員の方が「赤いサイロ」の購入整理券を配布してくれた。1人10個まで購入可能ということなので、2人で20個を購入。「バームラスク」も美味しそうなので、一緒に購入してしまう。陸別の自宅に帰ってから食べるのが楽しみだ。
はるばる北見まで出てきたので、今日は藻琴山を越えて川湯温泉を目的地とすることにする。今回の旅行では、これまでは車の性能に助けられ、スリップすることは皆無だったが、北見市街地の何の変哲もない交差点を左折したところで、車がお尻を振って初滑りをしてしまう。周囲に他の車がいなくてよかった!交差点でのハンドルの扱いは、以後、これまで以上に気をつけようと思う。
美幌市街を抜け、藻琴山展望台に向かって車を進めていく。東藻琴市街にあるセイコーマートで小休止。店舗の出入り口のそばに、何やら怪しげな小さい水槽が置かれている。近付いて水槽の中をよく見てみると、数十匹のクリオネが漂ったり、沈んだりしている。
実物のクリオネを鑑賞するのは生涯で初だったので、しばらくの間、見入ってしまう。水面までゆっくりと上昇したかと思うと、急に動きを止めて、今度はゆっくりと落下していく。バッカルコーンと呼ばれる触手を伸ばして食事する場面を見たかったが、それはなかなか貴重な機会であるらしく、目にすることは叶わない。
市街地を南下して、藻琴山に向かって走り始める。ちらほらと雪が舞い始めるが、藻琴山の山頂は比較的クリアに見えており、まだしばらくは展望台からの屈斜路湖方向の眺望が望めそうだ。段々と勾配がきつくなっていく。途中、すれ違った車は2台程度だったか。
展望台から眺める日本最大のカルデラ湖である屈斜路湖と、その外輪山の光景に目を奪われる。美幌峠や摩周湖第1展望台からの眺めとはまた違うその風景に圧倒される。屈斜路湖は、その昔は現在の2倍以上の面積を有していたとのこと。
昼食は川湯温泉の寿司店を計画していたが、少し時間を過ぎてしまったこともあり、今回の入店はお預け。少しばかり思案し、川湯温泉駅舎内の喫茶店「オーチャードグラス」を思い出す。混雑のピークの時間は過ぎていたようだが、それでも店内は賑わっている。店内の奥にある大きなテーブルに相席させていただき、ビーフシチューとカレーでランチとする。
このお店に前回訪れた時は、10年ほど前の12月末のこと。店内には2〜3組のお客さんがいただろうか。窓の外には、鉛色の厚い雲からしんしんと雪が降り続けていたと思う。今日と同じようにビーフシチューを注文し、振り続ける雪を眺めていた。
川湯温泉街に戻り、今回の立ち寄り湯である「きたふくろう」でゆっくりと温まると、時刻は16時前。建物の外に出ると、太陽はアトサヌプリとマクワンチサップの陰に隠れてしまい、あたりは暗くなり始めている。陸別まではここから2時間半程度かかるが、ここまで来て川湯温泉の公衆浴場に入浴しない手はない。源泉掛け流しの新鮮な熱い湯に浸かり、満たされた気持ちで帰路につく。
改めて帰路の行程を確認すると、阿寒湖と美幌峠のどちらを経由しても、所要時間に大差はないようだ。ここは、美幌峠を経由して、今までに通ったことのない津別からの道で陸別に帰りたい。
道はやがて屈斜路湖の岸辺を走る。ほんの少し明るさの残る西の空には、宵の明星と三日月が寄り添って輝いている。静まりかえった砂湯の駐車場に車を停めて湖岸に向かうと、そこにはいつものようにたくさんの白鳥が羽を休めていた。
美幌峠から美幌の市街までは、まっすぐな道をゆっくりと下っていく。すれ違う車はない。市街地の交差点を津別方面へ左折し、しばらく進むとすぐに市街地は途切れてしまう。津別の町を通過し、本岐の集落から分岐する道道51号線に入る。
本岐から陸別までは約30キロメートル。車窓には時折明かりのついた人家が見えるが、それ以外は真っ暗。途中の二又の集落まで行けば人の気配がするのではないかと想像していたが、その想像は全く外れ、行けども行けども暗闇の道。昼間はどんな風景が広がっているのかと想像を巡らしながら走り続けると、鹿の子峠を越え、陸別へと下り始める。
その途中、恐らくは牧草地の中を走る道の路肩に車を停め、外に出てみると、空には満天の星空が広がっている。周囲に人家もなく、人工の明かりが全くないこの場所は、絶好の星空観測地点であるようだ。先ほどまで見えていた三日月も山の陰に隠れ、夜空は更に暗さを増していた。今夜のような条件の夜空はまたとない機会であると思われ、銀河の森天文台を目指す。
天文台のある高台からは、予想通りの星空が鑑賞できた。東の空からは、冬の大六角形を構成する星々が昇ってきており、その中央には天の川も確認することができる。この時のために持参した星空観察用双眼鏡を取り出し、夜空をくまなく観察する。
オリオン座のベテルギウスは、最近その光度が低下しており、既に超新星爆発をしているのではないかとの話もあるようだが、今はそのような変化を感じることはできない。
オリオン座の直下に位置するうさぎ座は、明るい空ではなかなか見ることはできないが、今夜はその全身と長い耳を構成する星までがよく見える。けれども、クリムゾン・スターと呼ばれる深紅の変光星を観察することはできなかった。うさぎ座の東側から流れ出すエリダヌス座の川の流れもよく見える。川の南端に位置する1等星アケルナルは北海道からは見ることはできないが、その輝きに想いを馳せる。
いつまでも見ていられる星空だが、長い間寒空の下にいたので体も冷えてきた。まだまだ見ていたいと思わせる星空に後ろ髪を引かれる思いで、自宅に帰ることにする。今日の夜空は、今までに見た星空の中でも特に印象に残る空であった。

 
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