移住体験日記12/27-1/3【令和元年12月28日】

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2019年12月-2020年1月_千葉から

【令和元年12月28日(土)】
天気:晴 2日目 最低気温:-19.0度、最高気温:-4.1度
日の出:6時57分 日の入:15時55分 日照時間:8時間58分

目が覚めると、東の空は明るくなり始めていた。今日の行動はまだ決めていなかったが、天気は終日良い予報なので、糠平湖や三国峠の方面に走って行きたいと思う。
最近の車は事前にエンジンを掛けておく必要性はあまりないのかもしれない。けれども、車内の暖房のため、エンジンを掛けておこうと玄関を出たところ、昨夜のうちに降った雪が車の上に5センチメートルほど載っている。車内のブラシを使って、雪を落としていくこととする。
雪は水気の全くないサラサラの粉雪なので、あっという間に雪落としは完了した。しかしながら、フロントガラスの部分だけは、車内の暖気で一度溶けた雪が凍りついてなかなか落ちない。ブラシの柄の反対側についたヘラを使って氷を削り取ろうとするが、ガッチリと凍っていて全く歯が立たないので、時間の経過に委ねることにして放置する。
糠平の温泉は中村屋さんが良さそうだ。足寄を経由して向かうこととし、陸別を出発する。足寄までの道は一部凍結しているが、昨夜の粉雪が路上で解けることはなく吹き飛ばされてしまったようなので、アイスバーンに注意しながら車を走らせる。上利別を過ぎる頃にはフロントガラスの氷もだいぶ溶けてきたので視界は良好である。
今朝は朝食を摂っていなかったので、下愛冠のコンビニでサンドイッチとコーヒーを購入。このコンビニは元酒屋であったのではないか。酒の品揃えが一般的なコンビニのそれではない。気になる銘柄の酒がいくつもあったが、最近はブランデーやウイスキーを好んで愛飲している我々としては、その中でも1987年ものの十勝ブランデーに心を惹かれたものの、後ろ髪を引かれる思いで店を後にする。
上士幌を経由して、糠平に到着したのは9時30分頃。
中村屋の午前中の立寄り入浴は10時までのようなので、今日は入浴を諦めて東大雪ビジターセンターの館内を見学する。展示物の中で気になったのは、士幌線のコンクリートアーチ橋のガイドマップ。鉄道の廃線跡を辿るのは、北海道では時期が限定されるで、廃線跡ウォーキングをする時期は改めて検討する。
売店では十勝石(黒曜石)の工芸品が販売されていた。黒曜石は産出地が限られており、他には東京都神津島村の砂糠崎や恩馳島、長野県霧ヶ峰に近い和田峠の周辺が有名である。展示ケースの中央で存在感を放つ黒曜石の丸い「玉」に興味を持つが、自宅にて飾る場所が限られているので、今回は諦める。
糠平湖の北側に向かい、駐車帯に車を停めてタウシュベツ橋梁の展望台に向かう。タウシュベツ橋梁には今年の2月にも訪れている。その時は凍結した湖上を歩き、アーチ橋のそばを目指した。ダム湖の湖面はかなり低下していたため、アーチ橋の全体を目にすることができたが、今日はまだ12月の下旬であり、展望台から見えるアーチ橋は士幌線の終点である十勝三股側の上部が若干見えるだけ。士幌線は十勝の大平原を走るイメージが強いが、上士幌町内の萩ヶ岡・清水谷以降は東大雪の山地に分け入って線路が敷かれていたため、十勝三俣までは一方的な登り勾配であり、タウシュベツ橋梁の付近においてもそれは例外ではなかったようだ。士幌線の車窓に思いを馳せて、三国峠に向かう。
幌加温泉への分岐を越え、三俣の集落を過ぎると、道の周囲に人の気配は無くなる。路面はいわゆる圧雪アイスバーンという状況と思われ、昨夜積もったと思われる粉雪がその上を覆っている。走行している間に何台かの車に追いつかれるので、道を譲り、マイペースで勾配を登っていく。
三国峠の駐車場には1台の車も停まっていなかった。風は強く、積もった粉雪が巻き上げられているが、天気は快晴。持参したコートのフードが非常に役に立つ。展望台の眼下に広がるのは、三俣の原生林と東大雪の山々ばかり。
お昼の時間も近くなってきたので、今来た道を戻り、三俣山荘で昼食にする。カレーとビーフライスを注文し、店内の様子を見渡すと、士幌線の現役当時の写真やタブレットキャリア、列車に取り付けるサボ(行先標)に目が留まる。その様子に気がついたおかみさんが、三俣集落や士幌線のことについて話をしてくれる。往時は三俣にはたくさんの人が暮らしていたこと、帯広方面に向かう道路ができてから人が次々と去っていったこと。その時代を自身の眼で見てこられた方の話を聞いて、当時のことを想像しながら、提供された食事を口に運ぶ。カレーもビーフライスも美味しい。
以前に読んだ資料によると、三俣の現在の住人は、この三俣山荘の方々だけであるとのこと。今度この三俣を訪れた時には、改めてここに立ち寄り、美味しい食事をいただきたい。
今日2回目の三国峠を通過して、国境のトンネルを抜け、石狩国に入る。大雪湖の湖畔を辿っていると、大雪高原温泉の案内標識があるのが目に留まる。分岐する道は雪に覆われている。帰宅して調べてみると、案の定、冬季休業とのこと。
層雲峡と石北峠への分岐点を右折し、峠に向かう。この道は路線バスもなく、今までに通行したことがない道なので、緊張感が高まる。晴天は続いているが、時折吹く強風が粉雪を巻き上げ、視界を奪われる。対向車はほぼ無く、後続車もないが、ハンドル操作に気をつけながら圧雪アイスバーンの路面を進む。
ほどなくして到着した石北峠には、標高を示す標柱と北見市の案内図が建っていた。いわゆる平成の大合併により、留辺蘂町や常呂町と合併した北見市は、今ではここ石北峠からオホーツク海までの約100キロメートルに渡ってその市域を広げている。
峠を下って行くと、オメガカーブが2回ほど存在し、ここで攻撃的な後続車に追いつかれたので、道を譲ってから慎重に進んでいく。峠を下りてすぐの地点には、イトムカ鉱業所がある。この建物の他に人工物は見えない。この鉱業所は国内における水銀処理のトップシェアを誇る施設であり、内部の施設の見学をしたいところだが、門扉は閉まっており、施設内に入ることは諦める。
道路は曲線から直線になり、周囲には農地が広がり始め、やがて目的地である塩別温泉に到着する。この施設は最近リニューアルされたようであり、施設の内外共に新しい建材の雰囲気が感じ取れる。
浴場のシャワーハンドルを回すと、ほのかな硫黄臭(本来は硫化水素臭と表記すべきところだが、あまり一般的ではないようなので、以下、硫黄臭と表記する。)が漂う。源泉掛け流しの温泉施設は多数存在するが、シャワーやカランのお湯まで源泉を使用している施設はあまり多くないので、得をした気分になる。
昼下がりのこの時間では、入浴客は少なく、露天風呂は独占(独泉)状態。思う存分、源泉掛け流しの湯を堪能し、施設を後にする。
時刻はまだ16時前だが、今日の日没の時刻は15時●分とのこと。太陽は既に大雪の山々の陰に隠れている。この地点から陸別に帰るためには、まずは隣町である置戸まで、低い峠を一つ越さなければならない。以前から越えたいと考えていた置戸町常元への道は冬季通行止めであるので諦めて、その東側の峠道である道道247号線に車を走らせる。
通行量は多くはないと思っていたが、峠の頂上付近で後続車のヘッドライトの明かりが近付いて来たので、道を譲る。空に明るさの残っているうちに下り坂を降り、置戸町勝山からの道を左折し、置戸の市街地に入る。
置戸町は木材工芸品である「オケクラフト」で有名な町だが、その中心的存在である森林工芸館を訪れたことは今までになかったので、立ち寄ってみる。
旧置戸駅そばの踏切を渡り、少し迷ったが、柔らかな照明の見える工芸館に到着。館内には町内の多数の作家の方が製作された作品が展示販売されている。カーリングのストーンを模したお菓子入れや、白樺の樹皮の模様を生かしたサラダボウルに目を奪われるが、諸般の事情を考慮して、持ち帰りの安易な箸置きで我慢する。ソラマメの形をした可愛らしい箸置きで、我が家の食卓での活躍が期待される。
陸別までは置戸から約30キロメートル。ここからは池北峠を越えなければならない。何度か走った道ではあるけれど、冬季の夜間にこの峠を越えることは経験がない。意を決して峠への坂道を登り始める。
林友橋のバス停を過ぎると、街灯もなくなり、道路以外の人工物は見えなくなる。路面は乾燥しているようにも見えるが、山の陰になる部分には氷がある。池北峠は比較的緩やかな峠道だが、油断をせずにハンドルを操作する。峠の手前で北見行きのバスとすれ違うが、車内に乗客の姿は見えない。
順調に峠を越えて小利別を通過し、川上、分線の駅跡を横目に進む。30分振りに見えた町の明かりにホッとして、ようやく住宅に到着した。
 
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